キャプロア7

キャプロア出版という電子書籍出版グループで出会った7人のメンバーでなんか書きます。

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003 魔法のぞうきんの女

俺はたった3ヶ月で会社を辞めて実家に戻った。

誕生日の秋までは、まだ18歳だ。

妹の進学の関係で母と妹は別居していて、しばらくは父との二人暮らしをすることになった。

ただその父も出張が多く、ほとんど俺の一人暮らしといっていい。

誰にも何も言われないのをいいことに、俺は5万円でスクーターを買い、そのスクーターで20分ほどの海へ、毎日のように通って遊んでいた。

 

たまたま午前中に雨が降って、海へ行かなかったある日。

午後から晴れたので、行こうかな、どうしようかなと迷っていたらチャイムが鳴った。

「このぞうきんは軽く濡らして拭くだけで簡単に汚れが落とせる魔法のぞうきんなんです」

東北の大学生がアルバイトで北海道を回っているらしい。

俺は500円のぞうきんを買った。

少しぽっちゃりめのその大学生の女は4年生で22歳と言った。

俺は、この女チョロそうだなと思って、お茶でも出すから休んで行かない?と誘ってみた。

「いえ、会社の人が待っているので戻ります」

女はあっさり帰っていった。

俺はぞうきんを持って部屋に戻り、なんとなくぞうきんをもてあそんでテレビを観ていた。

ちょっと期待していただけに何かモヤモヤしている。

やっぱり海に行くかな。と思ったその時、またチャイムだ。

さっきの女だった。

「会社の人には、この辺を集中して回るって言ってきちゃった」

もうさっきのような敬語ではない。

 

部屋で流行りのレベッカやバービーボーイズのMVを観ながら、色々話をした。大学のある東北に年上の彼氏がいるらしい。明日はまた拠点の札幌に戻ると言っていた。

しばらくして音楽が途切れたとき、部屋の空気と、女のスイッチが切り替わったように見えた。

どうやらチョロかったのは俺だった。女のリードで女の思うままになっていた。この年代で女が3学年上というのは、完全に大人と子供の経験値だった。

 

20代の頃、よく年上の女性に誘われたり、また誘われるのがうまくなったりしたのは、この時が原体験なのかもしれない。

 

※この物語は、主人公の回想に基づき、だいたい半分くらいが真実のフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません!とは言い切れません。人物はほぼだいたいが仮名です。

 

別れ上手と思われて

後腐れがなくて捨てやすいと思われている男が本当の愛を求めてさまよい続ける物語。