キャプロア7

キャプロア出版という電子書籍出版グループで出会った7人のメンバーでなんか書きます。

役に立つような、立たないような、なんてことないことを書いていく日々。

浮かれた日々 駅番外編02

「うちに来る?」

マサコはすんなり頷いた。

すすきのからタクシーで南郷7丁目駅に向かう。

すすきのの店を1時間で切り上げてしまって飲み足りない分は缶ビールで補おう。

ローソンで買い物をしていると、マサコの携帯に着信があった。

俺から離れたところで何か話している。

「友達から」

とだけ電話を切ったマサコは言った。

雪がちらつく道を、コンビニ袋をシャリシャリ鳴らしながら、俺の部屋まで一緒に歩いた。

 

ストーブで暖まり始めた部屋で一缶ずつビールを飲む。

「私、去年まで結婚してたの」

マサコはバツイチだった。離婚した原因は、いわゆるDVがひどかったらしい。

俺は長い水商売時代に、さまざまな事情を抱える女性をたくさん見ていた。

そんな事情からなかなか逃げられない女性も多い中、早いうちに解決できたのは良かったんじゃないかと思った。

 

翌朝、少しだけ積もった雪の上をキュッキュッっと踏みしめて、マサコを地下鉄駅まで送った。

改札からホームに降りる階段まで、ほんの数メートルなのに、マサコは2回も振り返って俺を見た。

この先もずっと関係が続くのかはわからないけど、久しぶりに彼女ができたような高揚した気分だ。

それから1週間ほどの学校が休みの期間、マサコが俺の部屋に来たり、俺が麻生にあるマサコの部屋に行ったり。会わない日はメールでやり取りしたりと浮かれた日が続いた。

 

年明けの学校再開初日。

雰囲気で他の先生や生徒にバレないようにと平静を装い、校内での時間を過ごした。

マサコも少し緊張しているのか表情は固いみたいだ。

地下鉄で部屋に戻り、携帯を確認するとマサコからのメールが入っていた。自然と頬が緩む。

冷たくて動きの鈍い指で急いでメールを開く。

『ユウへ。実は私には以前からお付き合いしている人がいます。もう二人では会えません。ごめんなさい』

 

 

たぶん続くんじゃないかな。

 

※この物語は、主人公の回想に基づき、だいたい半分くらいが真実のフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません!とは言い切れません。人物はほぼだいたいが仮名です。

 

週刊キャプロア出版 第36号は、ゆーが編集長しました。

テーマは『駅』

週刊キャプロア出版(第36号):駅

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