いや、ちょっと待て。
確かに俺が一時的に寝取った形にはなったけど、サトウさんと付き合ってたことは知らなかったのだから、『最低な人』はないだろう。
マサコを失った寂しさの感情があとから湧いてくるのかなと思っていたけど、実際は思ってもみないところから別な怒りの感情が湧いてきた。
ついさっきまであった、彼氏への罪悪感というものもすっかり無くなってしまった。
それにしても。
今日、学校でマサコの表情が固いように見えたのは、俺との関係がバレないようにということだけじゃなくて、同じ時、同じ場所にサトウさんもいたからなんだな。
たった20人くらいのクラス、男性10人ちょっとの中の二人と関係してるんだから、それは表情も固くなるわ。
とりあえず、サトウさんへの返信はしないことにした。明日以降の学校でも何事も無かったかのように過ごそう。それが大人というものだ。
そう。学校の残り期間、あと2ヶ月弱を淡々と過ごそう。
実際に、学校では平静を装い数日が過ぎた。
金曜日の授業も残り1時間というところの休み時間にクラスの人気者、オガタくんに話しかけられた。
「ユウさん、今日はクラスのみんなで飲みにいきましょう。マサコ先生も行くって言ってます」
(いやいやいやマサコさん、俺もサトウさんも両方行くって可能性があるのに、行くって言ってる場合じゃないだろう)
結局、サトウさんは週末に道東の実家に帰るということで、飲み会には参加しなかった。
その飲み会は狸小路の屋台村のような飲食店で、クラスの人達、10人くらいが集まった。そこには断り切れなかった俺もいた。
たぶん続くんじゃないかな。(いつまで続くんや?)
※この物語は、主人公の回想に基づき、だいたい半分くらいが真実のフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません!とは言い切れません。人物はほぼだいたいが仮名です。
週刊キャプロア出版 第36号は、ゆーが編集長しました。
テーマは『駅』