「いや、マサコ先生は来てないよ」
俺は咄嗟に嘘をついてしまった。
この判断が良いのか悪いのか考えている時間はない。
そして今さら、やっぱり来てますとも言えるはずはない。
飲み会で俺が先に帰ったのはみんなが見ているはずだし、誰か他の人に確認されても大丈夫なはずだ。
「どうしたの?」
と、俺は続けた。
「飲み会に行くのは知ってたんですけど、帰宅の連絡もないし、メールの返信もなくて、電話もつながらないんです。となるとユウさんのとこしかないと思って」
「それほど酔ってる感じもなかったけどね。俺は先に帰ってきちゃったんでなんとも言えないけど」
「わかりました。明日またマサコに連絡してみます。夜中にすみませんでした」
なんか、この前と違って丁寧だな。サトウさんはマサコに浮気されたことで気持ちが少し冷めてきているのだろうか。
マサコも目を覚まし、状況を察して俺を見ている。
そして、この俺はといえば、この状況にすっかり興奮してしまっていた。
「大丈夫だよ」
と言って、マサコに覆いかぶさった。
何が大丈夫なのかわからないけど。
朝。もう一度目を覚ました俺はある疑問が湧いてきた。
そもそも、どうしてマサコの浮気がバレて、どうして相手が俺だとわかったんだろうか。
たぶん続くんじゃないかな。
※この物語は、主人公の回想に基づき、だいたい半分くらいが真実のフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません!とは言い切れません。人物はほぼだいたいが仮名です。
週刊キャプロア出版 第36号は、ゆーが編集長しました。
テーマは『駅』