サトウさんとの話し合いは、次の週末になった。
それまでの間、学校で顔を合わせるけど、お互い何も言わずに普通に過ごした。
心穏やかではないはずなのに、大人だな。
そこもサトウさんを見直す一つの要因だった。
今回のことは一通り正直に話して、俺は降りることにしよう。
そう思っていた。
土曜日の午後、札幌駅構内のドーナツショップで待ち合わせをした。
先に着いた俺がカフェオレを飲んでいると、間もなくサトウさんが到着した。
最初にマサコが俺の部屋に来た日の顛末を話す。
あの日、マサコは何の抵抗もなく俺の部屋に来て、何の抵抗もなく俺に抱かれた。
サトウさんは、クリスマスにかなり値の張るプレゼントをしていたようで、その直後にこれかと、かなりがっかりしていた。
その後、俺はマサコの部屋に泊まったりもしていたことを話すと、そのことは知らなかった。サトウさんは、マサコの部屋に行くことを許されていなかったと言い、そこでもかなり打ちのめされていた。
もう同情しかない。
どうやらマサコは、問い詰められたら喋ってしまうけど、聞かれていないことは話していないようだ。
余計なこと言っちゃったかなと思ったけど、もう全部話した方がよさそうだ。
そこにマサコも到着して、なんだか妙な雰囲気になる。
この時点で既に誰も怒りの感情は持っていなかったし、むしろ和やかというか、3人家族みたいになっている。
サトウさんが、俺の言ったことをマサコに再度確認して、マサコも否定しない。
すっかり話し疲れて面倒くさくなっていた俺は、この関係から降りることを伝える。
「最初は知らなかったこととはいえ、申し訳ないことをしちゃったと思ってる。この先のことはまったく考えられないので、俺はここで降りるね。後のことは二人で話し合ってよ」
「いやいや、ユウさん、ちょっと待って」
「んっ」
もっと丁寧に謝って欲しいのか、それとも何か要求されるのか、俺はどんな顔をすればいいのかわからなかった。
「せっかくだから、このまま3人で続けましょう」
もう何がせっかくなのかがわからない。サトウさんからの予想もしない提案に、俺は思考停止状態になって、答えを出すことができなかった。
もうちょっと続くんじゃないかな。
※この物語は、主人公の回想に基づき、だいたい半分くらいが真実のフィクションであり、実在の人物とは一切関係ありません!とは言い切れません。人物はほぼだいたいが仮名です。
週刊キャプロア出版 第36号は、ゆーが編集長しました。
テーマは『駅』