人気の漫画家沖田×華(おきたばっか)さんの『不浄を拭うひと』を読んでいたので、特殊清掃というものが何かは知っていた。
「特殊清掃」とは、遺体痕処理から不用品撤去・遺品処理・ゴミ部屋清掃・消臭・消毒・害虫駆除まで行う作業。
その特殊清掃について、書かれた書籍がkindleアンリミテッド対象になっていたので読んでみた。
解説の養老孟司さんも帯に書いているけど、「読んでいただければ、わかる」
実際にそんな本。
以前に私の知り合いが、便利屋で遺品処理のバイトをしていた時の話をしてくれたことがあって、その時は、「遺品を燃やして処理する時なんて、ドラム缶の中に突っ込んで火をつけて塩まくだけですよ」なんて言っていたので、ちょっとショックではあったが、実際にはいちいち死んだ人のことを考えてられないよなと、妙な納得をしていた。
しかし、この書籍の著者、特掃隊長さんは凄惨な現場の後始末をするなかで、死と向き合い、遺族や関係者とも誠実に向き合って、その時に揺れ動く心を文字に、文章にしてくれている。
毎日、死があふれている中で、私たちはリアルに人の死体を見ることはほとんどなく生活できている。
このような仕事をプロフェッショナルにしてくれている人がいるからである。
自分の身体は片づけようがないが、身の回りの不要なものはできるだけ片づけておきたい。
でも、この本を読むと、それがなかなかできないのも人間というものなのかなと思った。