キャプロア7

キャプロア出版という電子書籍出版グループで出会った7人のメンバーでなんか書きます。

役に立つような、立たないような、なんてことないことを書いていく日々。

たこ焼きで思い出したこと

僕にとって、たこ焼きといえば盛り場であり、すすきのである。

僕はちょうど30年前にすすきのにある飲食店で働き始めた。

働いていたパブのあるビルの裏口近くに、ひっそりと営業していた、たこ焼き秀ちゃん本店五条新町。

ここのたこ焼きや焼きそばを、お客さんが差し入れしてくれたり、泥酔して買って帰ったり。

美味しさとしてはまあまあ普通くらいと思うのだけれども、この店を思い浮かべると、30年前の色々なことがよみがえるのだ。

 

成人式の日に飲み過ぎて路上に這いつくばっていたユカ。

タンカレーのジンを僕に一気飲みさせたトモヨ。

毎週末朝まで飲んでいた小学校の先生マユミ。

ラークマイルドを一口吸ったらすぐ消して、またすぐに次の一本に火をつけるソープ嬢のユキ。

店のタンバリンを持って帰ってしまって、僕ら従業員がマスターに叱られて、後日ごめんなさいと返しにきてくれたサヤカ。

 

僕が北海道を離れてから、一度だけ札幌に戻ったのはサヤカに会うためだった。

サヤカは僕が働いてたパブの後輩であるマサシと結婚していて、マサシから連絡があったのだ。

サヤカは余命あと3か月くらいだという。

3か月か。まだ大丈夫と思い、ちょうど仕事の休みが取りやすかった3週間後に飛行機の手配をした。

出発の一週間前に、サヤカとメールのやり取りをした。

来週行くから。

楽しみにしてるね。

 

結局、サヤカは僕を待っていてくれなかった。

札幌のマサシの家には、サヤカの靴や衣類が、生きている時と同じように置かれていた。ああ、サヤカはヒョウ柄が好きだったよな。

会いたい人にはすぐ会おう。

 

たこ焼きから連想して、こんなことを思い出してしまうこともあるのだな。